英語を学習している人の中には、英語だけでなく他の外国語に興味がある人も少なくないのではないでしょうか。
今回見つけたのは、香港で話される言語、広東語と北京語の話です。BBCニュースより、英語で記事を読んでみます。
香港で話される広東語と北京語、英語
まずは、その背景の理解から。
香港は1997年にイギリスから中国へと返還されました。香港に住む人のほとんどは、日常的に使う言語として広東語を話します。
広東語は、中国の方言の一つとされていますが、中国の標準語とされているマンダリン(北京語=普通話、もしくは國語)とは全く異なる言語と言っても差し支えないほど、相互理解はできません。
香港が中国に返還されて以来、中国政府は北京語を中国語の授業(国語の授業)教えるように、指導してきました。まあ、中国から見れば当然かもしれません。
しかし、これに反発する香港人は多く、中には学校教育の北京語化が進むと、香港の文化でありアイデンティティの根幹である広東語が敗退するのではないかと懸念する人もいるんです。
返還後20年間で北京語話者は倍増
記事によると、1997年の中国返還当時、香港で北京語を話す人は人口の4分の一しかいなかったそうです。ところが、現在北京語話者は倍増しています。
ところが、若い人の中には流暢な北京語を話す人が多い一方で、北京語を使うことを拒否する若者もいるといいます。
それは、北京語=普通話(Putonghua)が香港の中国本土化(mainlandisation)を呼び起こすものだからです。
ビジネスには北京語と英語が必須
その一方で、ビジネスやキャリアという観点からは広東語よりも北京語の方が歓迎されていると言います。
北京語話者は世界に10億人いると想定されており、香港で成功するためには、北京語に精通していることがキーとなるからです。
香港で評判がよく人気の高い学校の多くは、北京語か英語で授業を行っています。
学校教育における大陸化
1997年の返還以前、香港の学校では英語と広東語で授業が行われていました。返還後、中国政府の働きかけにより、学校の国語の授業は広東語ではなく北京語で行われる傾向が強くなります。
現在、70%の小学校と25%のsecondary schoolsにおいて、国語の授業が北京語で行われていると推測されています。
広東語保存の動き
公的には、中国政府は読み書きに関しては中国語と英語のバイリンガル(bi-literate)、口語としては北京語、広東語、英語のトリリンガル(trilingual)を推奨しています。
しかし、広東語は香港人を中国政府から切り離すシンボルであり、中国政府も、香港政府もそれを望んでいないという意見もあります。
香港における北京語の普及に伴って、広東語保存主義者の人たちの間では、広東語を広告などの文言に使う風潮が広まりつつあります。
この辺は私たちには少し理解しにくい部分ですが、広東語というのはあくまで口語であり、文章表記をするときには北京語に近い文法と語彙で表現するのが通常でした。
それが、ここにきて、彼らの独自の広東語を広告などの文字表現にも積極的に使う動きが出てきたということです。イメージ的には新聞が大阪弁で書かれているのをイメージすると分かりやすいかも?
もっと深く理解したい方は、以下の記事を読んでみてください。
キーとなる単語
sought-after schools:人気のある学校
bi-literate:2言語の読み書きができる人、読み書きにおいてバイリンガル
bribing:賄賂、金で釣る
gaffe:失策、しくじり
suffrage:参政権、被選挙権
transmute:変身する、変性する、変質する
prestige:名誉、威信、品格
indispensible:不可欠